銀河鉄道999と仮面ライダー555

今日、人と話していて、仮面ライダー555映画版の話題になりました。話していた相手の方の感想だったのですが、冒頭のシーンについて、これを映画を観ていた子供は理解出来ていたのだろうかという疑問を呈されていました。

どういうシーンかというと、街中に武装したレジスタンスの人間が紛れ込ん出来ます。しかし街にいる人たちは全く動ずることはありません。しかし、仮面ライダーが現われると街の人たちは怯え逃げ始めます。こうした一連の描写によりスマートブレイン社の元、オルフェノク支配下にある世界では、人間はただ狩られるだけの存在になっており、支配者のオルフェノクには何の脅威にもなっていないという世界観が提示されるのです。しかし、仮面ライダーだけは、オルフェノクにとっても未だ脅威であり、人間にとっての最後の希望であるということがわかります。

このシークエンスには、ナレーションなどはなく、一切の明示的な説明はありません。
そういう意味では、状況から世界観を理解させるような演出になっていて、ちょっと高度といえば高度なのかも、と思います。

他にも、この映画のファイズは、テレビ版とは違うアナザーストーリーであるという特徴があり、キャラクターは同じ名前であっても、別の世界で展開する全く新しいものがたりであり、そうした点でも子供は理解しづらいのではと考えることも出来ます。ファイズまでに、仮面ライダー龍騎でもそれ以前にテレビ版とは別の最終回を描いたり、ファイズ以降も仮面ライダーブレードなどでもテレビ版とは別の世界を描く映画版が作られています。

確かに、子供にとっては、大好きなキャラクターが画面に登場していれば問題ない、という見方も出来ます。

しかし、低学年児童であっても、世界観が違うということは理解くらい、出来ているのではないか、というのが自分の印象です。まあ、どちらが正しいのかわかりませんけど。子供にも個人差があって、分かっている子供とそうでない子がいるでしょうけど、自分の印象では粗筋が追えるなら、大多数の子供は世界観の違いは理解しているのではと思いました。

というのも、自分が子供の時にみたTVの映画版でも、この映画はテレビとは違うんだと明確に理解していた記憶があるので。

ということで思い出したのは、銀河鉄道999の映画版でした。この映画版はテレビ版とは全く違う世界で999の世界が展開されていました。もっとも主人公も違うし(年齢が)、そういう点では設定の違いは理解しやすかったでしょうけど。それと、999は、小学生高学年になっていたので理解出来ていないと頭悪いといわれそうな年齢でしたので、比較対象としては、違っているかも知れませんけど。

ただ、思えば、999以前にも、東映のアニメではマジンガーZの映画版ではデビルマンゲッターロボとのクロスオーバーなどテレビ版とは繋がっているようで微妙に違う世界が展開されていて、画面を見ながらこれはテレビとは違うなあと気付いていました。他にも、ジャッカー電撃隊秘密戦隊ゴレンジャーのクロスオーバーでもキカイダー仮面ライダーV3など他の東映石森原作キャラも登場していて、地続きな部分もあるけど映画の特別な設定であろうくらいは気付いていたと思うんですよ。それに、ゲッターロボについてはメインキャラの死が明らかにテレビと違いましたし、映画版としてまとめるにはこれくらいアレンジしないと無理か、と漠然と思ってたような気がします。アレンジなんて言葉を知っていたかは覚えていませんが。でも、ある程度テレビを見慣れてしまえば、おそらく世界観や設定の違うという事実は、画面を見れば理解できるでしょう。

それで、999については、平成仮面ライダー映画版と同様に、テレビ版の最終回以前に、ラストが観られるというのは、公開前の宣伝などにも登場していた記憶がありますし、事前知識としても理解していたと思います。
原作が完結してもいない状態で最終回が見れるということで可也興奮してしまった記憶があります。
ちょっと話題がズレますが、別の最終回を見せるということでは、999を意識していたのかも。

とはいえ、この映画を未就学時点で観ていても、夢を現実と区別できるくらいの年になれば、テレビと映画は違うということ、またフィクション作品とキャラクターが様々な場面で描き出されるものだというのは理解できるんではないかとは思います。

プリキュアの映画版でも歴代プリキュアが大集合してましたけど、メインの客層である子供って、それぞれのプリキュアが別の番組の存在であって、映画という特別なイベントだから一緒に活躍するんだ、ということくらいは理解している気がします。

こども向けだとしても、だから、結構難しいことをやってもいいんじゃないかなあ。
難しいことを描いても、きっとそれでいろんな事を学ぶんじゃないかと。
子供の時に555の映画でナレーションに頼らない演出を学んだ人が凄い演出家になる可能性も高い?

そんな事を漠然と思った日の日記でした。




(追記)
それで、アニメマニアな人から指摘されるんじゃないかと被害妄想気味に書き足しますが、999の映画版はテレビの映画版として作られたわけじゃなくて、テレビ放送前から企画が動いていた、ということは事実としてあると思います。だから仮面ライダーの映画版と比べるのは適切なのかわかりません。ただ、テレビ放送開始後に映画公開されていますから、テレビを見ていた人にとっては、大好きなテレビ番組が映画化された! みたいに思っていたんではないかというくらいの意味です!