「君の名は。」 観た。

kumaXX2016-08-29

君の名は。』は2016年8月26日から公開されている新海誠監督によるアニメーション映画作品。新海誠は2002年の『ほしのこえ』で注目を集めたが、その後も話題作を輩出している。今回の『君の名は。』は監督の最新作。神木隆之介上白石萌音長沢まさみらが出演している話題作だ。都会の男の子と田舎の女の子が夢の中で入れ替わってしまう事で生じる騒動を描く。目覚めたら何も覚えていないためお互いの名前すら思い出せない。そして男の子はわずかな手掛かりから女の子を探そうと決心するが・・・・・・。この映画は二日間で観客動員59万人、興収7・7億円を記録しているという。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1701570.html
売れているだけではなくツイッターなどで感想を検索するとおおむね好評である事がわかる。まあこれからキツイ意見が出てくるタイミングだと思うが、それにしても好評な理由は何だろうか。やはりエンターテイメントに徹した作りが良かったのではないか、以下3つの理由を述べてみる。ネタばれは気にしていないので、ここでネタばれを気にする人は読むのを止めると良いだろう。まず見知らぬ男女が出会うという王道の展開が軸にある事ではないだろうか。それも夢の中で入れ替わっているというトリッキーな入れ替わり方だ。これはドキドキする。あと入れ替わりの記憶があいまいになるという仕掛けがラストへの引きになっているのも良かった。さて男女の入れ替わりものにありがちだが互いの身体の違いを認識するところから始まる。おっぱいをもんでいるシーンがしつこいくらいに挿入される。また互いに生活を入れ替える事もスリリングだ。突然バイトに駆り出されるシーン等ちゃんとバイト出来るのか不安になりながら観た。バイト先の先輩との交流も良い。このように互いに慣れぬ相手の生活を過ごすシチュエーションがとても面白い(それが後半の伏線にもなっている)。そして互いに惹かれあう二人。・・・・・・でも、ここは欠点でもある。二人の距離がどう近づいているのか非常に分かりづらい部分があるからだ。だから何故惹かれあうのかという動機が弱い。そこに乗れないと感情移入しづらいかもしれない。ところで、二人が入れ替わっている事に気づく前から喪失感を感じて涙を流している。それはなぜなのか。男の子の方には理由があるように思える。それはかつて女の子と出会っているから、それが心のどこかに記憶が残っていて、思い出せない事が喪失感として涙になっているように思える。女の子の方は、なぜなんだろう? 二回目あるいは円盤が出たときに考えてみよう。閑話休題。それともう一つは、時間差があったうえでの入れ替わりという仕掛けには素直に驚いた。いや、こんなの予想出来るよね!? っていう意見があったのは読んだし、SFかじった人なら、こういうネタなんではと予想する事も可能でしょう。ただ自分は予想出来なかった。というより、予想も何も事前情報は予告編を数回見ただけで観に行ったものだから何も考えずに観た。でもそれが良かった、と思う。電話をかけてもつながらないわけがわかったし。あと予告編でみんな死んじゃうんだってこういう事だったんだと、観ていて驚いた。彼女の足跡をたどっていたら、すべてが終わった後だったという絶望感。これは良かった。深い絶望感を味わった分、ラストが栄える。あともう一つの点は、彗星の片割れから、そうやって村人を救うのかという部分。入れ替わりギミックもきちんと作用していて、大まかな計画は男の子の方が立てるのだけれども、肝の部分は女の子の親子の絆が物を言うっていうのが、凡庸な仕掛けだが、この場面に到達する頃には感情が乗っていたので、非常に感動出来た。以上の三点が、自分がこの作品がエンターテイメントに徹していると感じた点である。ちょっと自分の情感が乗っているので論理的ではないが、感動が残っているうちに書き記す。