ナック(株式会社Knack、以下ナック)という会社を御存知でしょうか? アニメやVシネマなどを製作していた会社ですが、アニメ制作会社としてのナックの沿革を、個人的な興味もあり(だって好きな作品が多いからっ!)整理したいと思います。多分、一回で終わらないので、続くと思います。以下敬称略。
ナックという会社は、1976年に設立された会社です。設立当初は月岡貞夫が代表だったようです。最初のメンバーは、月岡貞夫、林静一といった元虫プロの人たちが中心に集まって会社を設立したそうです。アニメ雑誌のインタビュー*1によれば、他には、出崎統、阪本善尚も発起人だったそうですが、ネットで二人のプロフィールを調べても掲載されていませんでしたので詳細は不明です。そして、最後になりますが、西野聖市。彼は、その後社長となっていますが、今、ナックを知る人にとっては、この方の名前が一番印象に残っているのではないでしょうか。西野は、アニメ雑誌のインタビューによれば、教育者の家庭に生まれたそうです。ワンダー3の頃に虫プロに入社、制作進行をされていたそうです。そして、1972年に上記メンバーと共にナックを設立しました。そして、ナック作品の殆どの企画として名前がクレジットされています。
1970年、ナックのアニメ作品第一作として「いじわるばあさん」が制作されます。長谷川町子がサンデー毎日に連載していた漫画をアニメ化し、日本テレビ系列で放送されました。また、同時期には、同系列の「すばらしい世界旅行」(作画は月岡貞夫)、「ノンフィクション・アワー」のアニメ部分を制作していたそうです。
1972年には、「正義を愛する者 月光仮面」、「アストロガンガー」(日本初のカラー版巨大ロボットTVアニメ)を制作します。両者とも現在DVDが手に入ると思います。非常に自分の大好きな作品なのですが、月光仮面は是非見て欲しいところです。
◆月光仮面
◆アストロガンガー
ところで、真佐美ジュンという方のブログで、ナックアニメについて述べられた記述が有ります。
真佐美ジュン
http://blog.goo.ne.jp/mcsammy/e/113818ff45e96a600c41fa8100c9ec00
このブログによれば、1972年には、パイロットフィルムとして、「スーパータロム」という作品を制作していたようである。この作品は、鉄腕アトムへのリスペクトがこめられた作品のようであるが、製作が難航して日の目をみなかったようである。他にも「透明少年探偵アキラ」(田中角栄を思わせる首相が登場することから、その時期?)、「おこれノンクロ」といったパイロットフィルムが存在します。
インタビューでも、設立当初の意気込みとして、オリジナル作品をどんどん作ろうと西野も発言していることから、これ等の作品は、そうした試みの一環だったのだと思われます。
ところで、日の目を見なかったナックの作品としては、多くの人が知っている有名作品があります。それは、「一休さん」、「日本昔話」です。最初に、ナックで企画していたところ、諸事情によりスポンサーが降板するなどして、他社に譲り渡した企画なのだそうです。後にテレビ放映された日本昔話については原作が川内広範であり、アニメ版の月光仮面でもナックは川内広範と関係していたので、色んな形でつながっているのかもしれません。
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そして1973年には、TBSで「チャージマン研!」が放送されます。これも最近全話DVD化したので御存知の方も多いでしょう。帯番組で正味5分程度の尺ですが、めまぐるしく展開するストーリーは、今見るとジェットコースターのようなアニメです。ちなみにインタビューによれば、原作の鈴川鉄久は、草川たかし、鈴木良武、伊東恒久、ともう1人の合同ペンネームなのだそうですが、そういえば、一文字ずつ入っていますね! あれ、おかしいな。
OPにクレジットされている原作名は、田中英二という方なのですが、鈴川鉄久って誰のことなんだろう・・・?*2
上記のインタビューによれば、チャージマン研のモデルは実在の人物なのだそうです。西野のサンフランシスコ在住の友人、ピーターだったとのことです。ピーターは、超能力者で、「FBIの捜査にもかり出され、数々のお手柄をたてている」という人物だったそうです。それにしても、これは、凄い人をモデルにしたものです! このエピソードを聞いてから、あのアニメ作品を見返すと、更なる発見があるかも?
いずれにせよ、この「チャージマン研!」は傑作なので、視聴をおススメします。
◆チャージマン研!
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1974年には東京12chで「ダメおやじ」を制作、これは週刊少年サンデー連載の古谷三敏の漫画作品をアニメ化したものです。
◆ダメおやじ
そして1975年には長期にわたり放送される人気シリーズ「ドン・チャック物語」が製作されます。
(多分、続く)