本当は強い、ドラえもん。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」ではタイムスリップした野原一家は、ともに現代から乗ってきた乗用車で戦国時代の合戦に突入する。現代では日常の足として使われる乗用車だが戦国時代では、騎馬や歩兵らに対し卓越した機動力と衝力を持ち、本来は暴力沙汰の素人である野原一家でも、活躍することができた。何を言いたいかというと、戦国自衛隊程ではないが、日常の道具でも時代や場所を変えれば、戦闘力を持った兵器として使用できるのではないかということである。


それで、ドラえもんである。彼は未来からやってきた猫型ロボット。現代の科学では作れない体を持っていて、それなりのパワーや強度を持っているはずだが、子供の遊び相手など人間と共存できるように設計されているはずである。「ロボ子が愛してる」に登場する少女型のトモダチロボット ロボ子は、のび太をいじめるジャイアンスネ夫を半殺しにするが、彼女のパワーは「ざっと百万馬力」である。かの鉄腕アトムですら10万馬力のパワーしかない。未来世界の技術では少女の体にそれだけのパワーを宿すことができるのだ。このエピソードは何度もアニメ化されているが、あるアニメ化では、のび太が帰りやすいように学校から家までの建築物を排除してしまうのだった。「いいロボットはかりちんも高いんだよ」というドラえもんのセリフにもあるように、ロボ子はあまり良いロボットではないようだ。違いは馬力そのものではなく、制御のソフトウエアではないか。きっと高級なロボットは、そこに宿したパワーが人間に危険でないようにうまく統御されているのだろう。



ドラえもんですら、おそらく、普段接する人間に危害が及ばないようにパワーもセーブされているのではないか。それを伺わせるエピソードとしては、たとえば、「ドラえもんの歌」では、素手喧嘩(ステゴロ)でジャイアンを簡単にのしている。ムシが電子頭脳に入り込んで、へんになっていたのがオチなのだが、制御が外れれば、いくらケンカが強いとはいえ、ただの子供など簡単に排除できるのである。


劇場版作品でもドラえもんの強さが描かれている回がある。それは「ドラえもん のび太とロボット王国(キングダム)」である。コングファイターとの戦闘では道具ばかりが注目されるが、ロボット王国のラストバトルでのドラえもんの活躍は、彼が全力を出し切った時にどうなるかの例証といえるであろう。その活躍の姿はぜひその目で確かめていただくとして。まさに戦国時代に活躍した野原家の愛車のように、使い方次第では猫型ロボットは、緊急事態に対応しパワーを発揮することができるのである。


未来世界ではもしかすると、猫型ロボットはボディガードの役割もはたしているかもしれない。子供に近づこうとする変質者や犯罪者などは、猫型ロボットの姿を見ると逃げ出すかもしれない。下手に手を出すと手痛く反撃される恐れがあるだろうから。ドラえもんを見ているとそんな未来世界を想像してしまうのだった。