共同体と”開かれた”アート 〜アートと公共性の関係〜

行ってきましたよー。

壇上では、凄く青臭い議論が行われていて、新鮮!
アート系の評論の人って、みんな、ああなの?
素晴らしい!
途中から、事件にかこつけて自分の言いたいことを言う場になっていたのもイイなー。

ピカッ事件についての当事者の話が、当然ながら、最も面白かった。いやでも、直前まで、こんな事をやっていいのかという迷い悩みがあったという発言からは、結局、表現したいという欲求が、社会性だとかを超えてしまったと解釈してもいいのかな? そうだとしたら、そもそも、芸術に公共性を求めなくてもいいんじゃないの?
やりたいことをやった、それって、アートだろうが、なんだろうが、やりたいから、仕方ないじゃん。
何かを発信するって、そういうことでしょ。
とはいえ、何かを表現する以上、社会とは何らかの折り合いをつけなければいけないから、そういう具体性のある議論がこれからなされれば、面白いと思います。

誰だったか忘れたけど、公共性についてユルゲン・ハーバーマスを引用して、「政治がスペクタクルとなっている」とChim↑Pomの『ピカッ』事件における消費のされ方を一生懸命述べようとしているスピーカーがいましたが、この事件って、アートの表現が政治性を呼び起こすものだから政治的に見えるだけであって、政治が大衆にとっての見世物となっている状況として捉えて本当に妥当なものだったの? 誰も疑問を呈していなかったけど、そういう論調には、なんだか、公共性について引用元に引き摺られて、引用している考えを実は誰も理解していないんじゃないか? という疑問が消えません。

スピーカーでは、川崎昌平の事件がアートを考えるきっかけになったという発言が、単純ながら分かりやすかったですよ。
色んな意見が述べられて、観ていて面白かった。

個人的には、じゃあ、公共性をもつ場に参加するアート製作者の主体性とか、そういう議論が聞きたかったなー。

会場で行われていたパフォーマンスも含めて、
非常に楽しい催しでしたー。
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《CAMP × Arts and Law 連続トーク企画》
「共同体と"開かれた"アート 〜アートと公共性の関係〜」
モデレーター:Arts and Law

第一夜 12/3(水) 20:00〜
第二夜 12/6(土) 19:00〜
会場:Otto Mainzheim Gallery(東京都中央区八丁堀3-11-9-B1)
http://ca-mp.blogspot.com/2008/05/about-camp.html

《テーマ、出演者》
第一夜(12/3):「アートは、何とどうやって関わっていくのか」
     出演者:遠藤水城杉田敦川崎昌平池田剛介、ほか交渉中
第二夜(12/6):「創作/表現活動とパブリック・コード」
     出演者:白田秀彰、藤井光、南嶌宏、ほか交渉中

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《企画趣旨》
Chim↑Pomの『ピカッ』事件、世田谷美術館での横尾忠則展での地元自治体の教育委員会が鑑賞拒否を決めた事件など、
日本各地でアートと共同体との緊張関係が取りざたされた2008年。
美術史をひもとけば、かつて公共的な空間に出現したアートの中には、リチャード・セラの『傾いた弧』、クリストや川俣正、クシュシトフ・ヴォディチコの一連のプロジェクトなど、公共空間そのものを作品/プロジェクトの成立に不可欠な場としたものだけでなく、そこから公共空間におけるアート、あるいはアートと公共性をめぐる有意義な論争を導いたものが数多くありました。

今回のトークイベントの開催は、最近の国内での事件をきっかけにしていますが、その是非を問うたり、社会現象として論評するのが目的ではありません。インターネットの日常化やいわゆる"新公共管理"の手法が広がりつつある現代において、"アートによって開かれていく公共的な対話"を可能にする基盤をどう創るか?
ということを改めて問い直す場となることを希望しています。

トークは二夜に分けて行われます。まず第一夜では現代社会で活動するアートの作家、企画者として、公共という問題をどう考え、どう関わるか、最前線に身を置く当事者たちの問題意識が浮かび上がります。そして第二夜では、第一夜で浮上した議論を踏まえ、アートに限らず、表現と公共の「コード」の関係について、法学者、アクティビスト、評論家、公共美術館の一員として奮闘してきた方々とともに、現在と地続きの未来に待ち受けている公共的な規制について考えます(予定)。もちろん一夜のみの参加も大歓迎です(二夜連続でご参加いただく方には優待措置があります。詳細は後日掲載します)。

会場の参加者も交え、ポジティブでリアリティのある討論を行いたいと思います。
アート関係者、愛好者に限らず、現代社会における公共性や倫理について関心をお持ちの方など、様々な来場者をお待ちしています。

作田 知樹(Arts and Law)

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モデレーター:Arts and Law
芸術家の活動に関する法分野(芸術法、Art
Law)の研究と情報提供を行う非営利組織。2004年に東京で設立。アーティストの自由な表現活動を励ますパートナーでありたいと考えるボランティアの専門家(主に法律、知的財産関係)が中心となって運営。アートに関連する法律や契約の知識に加え、自らアートの現場に関わり、アーティストの置かれた立場や思考にも精通している専門家が、無料のメールや対面での相談を通じて、相談者の状況に応じた的確な情報を提供している。情報発信以外にも、文化政策への提言や、アートと社会の関わりやアート関係者同士の横のつながりを作るイベントを行っている。mixiのコミュニティには
2600人を超える参加者がある。
http://arts-law.org/

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出演者略歴
<第一夜:12月3日>
遠藤水城Mizuki Endo
キュレーター。アーカス・プロジェクト
http://www.arcus-project.com/jp/ディレクター。1975年札幌生まれ。九州大学博士後期課程単位習得満期退学。
2001年、福岡市で「都市型アートプロジェクト
rhythmhttp://www.mhtyhr.com/」を設立。雑誌発行、実験音楽イベント、展覧会、映画上映会、アートプロジェクト等さまざまな企画を展開。2004年、博多区に誕生した「アートスペース・テトラ
http://www.as-tetra.info/」設立の中心的な役割を担う。同年より日本財団APIフェローとしてフィリピンに6ヶ月、インドネシアに5ヶ月滞在し、現代美術の現状を調査。期間中マニラで地元アーティストと共に「Future
Prospects Art Space」を設立。2005年、ベルガモ近現代美術館(GAMeC)が主催する若手キュレーターを対象とした国際賞「ロレンツォ・ボナルディ・アート・プライズ」に長谷川祐子の推薦を得て、アジア代表として参
加。同賞を受賞。それに伴い2006年同美術館にて「Aesthetics /
Dietetics」展(参加作家/小沢剛高嶺格ガリー・ロス・パストラナ、乃美希久子)を開催。同年「シンガポールビエンナーレ2006」ネットワーキング・キュレイターを務める。2007年、Asian
Cultural Council日米芸術交流プログラムの助成により米国に滞在。同年、水戸にオルタナティヴ・スペース「遊戯室」を設立。東京芸術大学非常勤講師。Art
Initiative Tokyo(AIT)による教育プログラム「MAD」キュラトリアル・コース講師。共訳書にジェイムズ・クリフォード『ルーツ

  • 20世紀後期の旅と翻訳』(月曜社)がある。

杉田敦|Atsushi Sugita
美術批評。アートと旅、人生と友人、愛、思想が混濁。art & river
bankhttp://www.art-and-river-bank.net/
ディレクタが混濁。女子美術大学准教授で混濁。リスボンが混濁。モランゲイロも混濁。サハラで開眼するも、ジブラルタルを渡ってアンダルシアで即座に閉眼。現在睡眠中。著書に『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)、『ナノ・ソート、現代美術で考察するということ』(彩流社)などがある。

池田剛介 | Kousuke Ikeda
美術家。1980年福岡県生まれ。 東京藝術大学大学院
先端芸術表現科修了後、文化庁在外研修員としてアメリカ留学。樹脂や鏡など、様々な素材を用いながら、近年は主に平面作品を手がける。東京藝術大学非常勤講師。
http://d.hatena.ne.jp/kosuke_ikeda/

川崎昌平|Shouhei Kawasaki
1981年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。文章表現をベースに幅広く活動するアーティスト。著書に『知識無用の芸術鑑賞』『ネットカフェ難民』(どちらも幻冬舎新書)『若者はなぜ正社員になれないのか』(ちくま新書)がある。『美術手帖』『翼の王国』などの雑誌に寄稿。

ほか(交渉中)

<第二夜:12月6日>
白田秀彰 | Hideaki Shirata
法学博士。知的財産権法・情報法専攻 法政大学社会学部 准教授、一橋大学法科大学院非常勤講師、武蔵野美術大学デザイン情報学科非常勤講師。
著書に『コピーライトの史的展開』、『インターネットの法と慣習かなり奇妙な法学入門』がある。社会における様々な規制について関心を持つ。雑誌や自身のサイトなどで、リアルとネットにおける法の位置づけについても積極的に発言している。
http://orion.t.hosei.ac.jp/hideaki/

藤井光|Hikaru Fujii
1976年東京生まれ。フランス国立美術大学ENSADインタラクティヴ研究所卒。パリ第8大学第三期博士課程DEA(芸術・美学)卒。欧州でメディア・アーティストとして活動を始め、現在、行政・法律と芸術の関わりについての制作・研究を行っているほか、市民メディアセンターMediRにて長期ドキュメンタリー制作過程の講師を務めている。
http://www.hikarufujii.com/

南嶌 宏 | Hiroshi Minamishima
美術評論家、キュレーター。女子美術大学芸術学教授。 前熊本市現代美術館館長. 1957 年
長野県生まれ。筑波大学卒業後、インドを約9カ月放浪。帰国後、いわき市立美術館、広島市現代美術館を立ち上げ、1991年より美術評論家、キュレーターとして活躍。
1993年 カルティエ現代美術財団奨学生としてフランス留学。女子美術大学の講師などを経て、2000年より熊本市現代美術館の設立準備に参画。学芸課長、副館長を経て、2004年〜2007年熊本市現代美術館館長。専門は現代美術思想。旧共産圏の現代美術。著書に評論集『豚と福音』(七賢出版)などがある。

ほか(交渉中)<<