「そんな予感がしたんだ!」

◆「ノコギリダム・ストラテジー」(作者:宝石塚麗、発行:青ベリー社、2007年7月)

今日は密室で殺人事件が起こる日です。これからが本当の謎と恐怖の幕開け。ゾンビとAV女優が少年刑事と熟女素人探偵コンビに挑戦状を叩きつけます。
動物村の村長がウサギにかみ殺された!しかしそれは巧妙な偽装工作、第一容疑者は村で撮影をしていたクルーたち、しかし彼らには絶対のアリバイがあった。
解決のヒントは自由落下状態の巨大輸送用飛行機内部の無重量空間におけるアルコール摂取量限界と安心な老後設計を望んでいる高校生の読書感想文に隠された暗号。
はたしてトリックはどのようにして解き明かされるのか、そして村の歴史に隠された悲しい愛の奇跡とは?
真実は村長が調理中のカレーのルーに隠されていた。

複雑に絡み合った糸が、今一本につながった時には既に手遅れだった!

久しぶりの推理モノ。少年刑事と熟女素人探偵コンビが活躍するシリーズの第二作目。トリックはオーソドックスな印象でマニアな人には物足りないかもしれないが、自分は推理小説に詳しくないので何ともいえない。
いい部分といえば、推理を始める前の二人の会話における少年刑事のモジモジっぷりが何とも萌えます。前作のラストまで少年探偵がずっと熟女の探偵さんを未亡人だと思い込んでいたのが勘違いであることが明かされたのだが、離婚した元夫の恋人(少年刑事の元家庭教師)への当て付けでイタズラ半分に誘惑するのを撥ね付けてしまった少年の後悔が、アノ年頃の少年っぽくて良い。こういうキャラクターの立て方は良いですね。シリーズにして正解だと思います。
あと鶏をノコギリで虐殺する犯人の行動が、残酷なのに可笑しい。普通あんな重要なシーンをギャグにするかね?
ただ個人的には中盤の吉祥寺薔薇館で主人公たちが地震にあって閉じ込められるシークエンス、一体どうやって抜け出すのかで興味を引っ張りながら、あんな脱出方法とは、ある意味拍子抜けかもしれない。しかも、救出にやってきたゾンビマスターが、熟女素人探偵の息子のクラスの女委員長とその母親が吉祥寺薔薇館の常連であるのをどうして知っていたのか?あと敵であるゾンビマスターが何故彼らを助けたのかの理由が少しご都合主義なのが気になった部分です。多分、次回にも彼を登場させる伏線なのではないか?
前作に引き続きイラストを担当しているPhishiphishiさんは、自分は良く知らないのですが、プロフィールによればなんか同人活動とかしていたっぽい。ちょっと独特な感じの絵柄は好みが分かれそうですけど、女の子が可愛いと俺は思います。