つぎの世界を求めて

蟹工船まんが版
蟹工船が売れているらしい。自分が蟹工船を読んだのはもう10年前だが、あらすじ以外は忘れてしまっています。原作のテキスト自体は本屋さんに行けばいくらでも買えるし読めるのだが、折角なので、漫画版を紹介したいと思います。現在2種類発売されており、どちらも特色のある本です。

以下、ネタバレあります。

マンガ蟹工船

マンガ蟹工船

以下「大学生のための」。原作者である小林多喜二の死後家族が彼の作品を読むという構成で始まります。作画は藤生ゴウ。他に「ゴルフトラブル110番」や「騎兵隊の反乱」という漫画があるそうです。学研の「楠木正成」は読んだことがあるかも?
漫画作品としては描写は非常に淡々としています。露助の船に助けられる話など、いくつかのエピソードが省略されていますが、多分あらすじを追うには問題ないのでは。巻末にある島本輝氏による解説〜例えば小林多喜二は映画的手法を意識していたなど〜は読み応えがあります。

蟹工船 (まんがで読破)

蟹工船 (まんがで読破)

以下「まんがで読破」。作画担当の個人名はなく編集プロとして制作されているのか。このシリーズでは他にも多くの文学作品を、まんが化している。
この蟹工船では、かなり漫画的にデフォルメされている印象。主人公として森本というキャラクターが活躍します。原作はどちらかというと群像劇だったので、これは大きな特色。「大学生のための」は群像劇として描かれておりまんが化の手法の違いが比較しやすい。
ストーリーも脚色されており駆逐艦から水兵が乗り込んでストライキの首謀者が捕まるのは原作どおりだが、その際、森本が浅川をぶん殴って、退場するものの、原作では読者の想像に任されていた部分もある第二回目のストライキが成功するまで描写されている。こういう部分は評価は分かれそう。ただ、今の読者は分かりやすいハッピーエンドでないと駄目なのか? と少し考えてしまいました。
ところで、露助と一緒にいる支那人のことが何故か「朝鮮・・・中国人か?」に変更されていました。


両作品に共通して思うのは、浅川監督のキャラが非常に際立っているところです。
「大学生のための」の巻末解説でも島本輝氏が述べている通り、浅川の行う暴力描写が、この作品にリアリティーを与えているということですが、漫画的に非常に浅川は分かりやすい悪役となっている気がします。
漫画担当としては、漫画キャラとして描き甲斐があるのかも。
「大学生のための」でも会社の利益や国家的な名分をたてに働く人に暴行を加える様子を通じて粗暴なキャラぶりが淡々と描いております。
「まんがで読破」にいたっては、浅川監督の頭に角らしきものが描かれており、まさに鬼・悪魔といった感じです、少々デフォルメしすぎな気もしますけど。
ただラストの浅川の転落振りを考えると、中間管理職の人的には、結果的に浅川の方に感情移入する人もいるのかもしれません。
それに、悪役として浅川を魅力的に描くほど、本来原作者小林が描きたかった背後の資本の論理などが霞んでしまう可能性もありますし、主題がぼやけてしまうかも知れないですし、ここは痛し痒しかも知れませんね。

それにしても、原作では分からなかった(というかうろ覚えにそんな描写があったのを覚えている)カムサッカ体操の描写があると思っていたのに、両漫画版になかったのは、残念です。一体、どんな体操だったのか。

■ナイツ
ナイツがテレビに出ていた。少しづつ言葉をずらしていくネタが面白いですよ?先日、お笑いライブ漫才バカ一代でも宮崎駿ネタをやっていたが、宮崎駿手塚治虫に影響を受けてアニメーターになっただとか、宮崎に関するエピソードがほとんどデタラメ事実ばかりで、非常に楽しかった。


乙女ロードクッキーのCD,漫画化
Libreから発売された新雑誌クロフネ

クロフネZERO (ゼロ) 2008年 06月号 [雑誌]

クロフネZERO (ゼロ) 2008年 06月号 [雑誌]

のオマケに、乙女ロードクッキー【GRACE DOOR】のCDドラマが付属しており、また漫画が掲載されております。
もう一ヶ月も前に発売された雑誌ですが、出演声優に新谷良子清水愛とそれなりの人気声優がいるのに、誰も反応していないのは、やっぱりBLっぽい雑誌だからなのか。



ところで昨日に引き続き、もうひとつ小説のプロットを考えて見ました。
「たわしねこが政界をたわしでゴシゴシ大掃除」
支持率低下に歯止めがかからず、与党は人気挽回の奇策として、大人気のたわしねこを名誉党員に。
しかし気ままに政界を動き回るたわしねこは、散歩先で政界の黒い闇をみつけてしまい・・・。
その身体をたわしにみたて彼は政界を大掃除することを決意するのでした。

だめだ、たわしねこのキャラを生かしきれていない。


関係ないけど、チェンジってタイトルが「チャンス」(失業した植木屋が偶然アメリカ大統領のブレーンになり出世する映画)へのオマージュなのか。