『映画 えんとつ町のプペル』観てきたよ!

劇場版えんとつ町のプペル観た。短いが感想を書いておく。

ネタバレあるので気になる人は読まないで。

テーマから見ると本作は、凡庸な劇場版少女革命ウテナである。システムに囚われた、えんとつ町という存在にに主人公が挑む。ウテナの場合はデュエルといった先鋭的な仕掛けがあり、それがこの世界の何らかの比喩であると読み取れる。ウテナとアンシーはシステムとなった学園から逃亡するために自動車に変身する。こういった何これ!? という驚きの演出があった。プペルは、そこはストレートに空も海も隠され世界はえんとつ町だけだという異端審問官の構築した検閲的なシステムがある。主人公は、そのシステムにプペルと共に挑むことになる。ただしプペルは世界の真実の謎よりは家族の話に持っていった感がある。もともと謎の真相は親父が語っていた紙芝居にある。既に回答は出ている。

ただし決着のつけ方は宗教映画的。システムに隠蔽された真実をみんなが知れば解決という構造は例えば幸福の科学のファイナルジャッジメント(実写映画)を想起させる。確かに宗教アニメだと評する人がいるのもわかる。ファイナルジャッジメントが説教により世界が救われるとすれば、プペルは主人公の活劇によるところがあり違いはあるが、主人公の父親のセリフが流れ続ける描写には心に迫るものがあった。またプペルが宗教アニメだと評価される理由のひとつは何の葛藤も無いまま提示される価値観だろう。貨幣の価値についてのアイデアなんかは、その、最たるもので少し置いてきぼりになった。ちょっとサジェストが欲しい所。また主人公の葛藤が薄味なのも宗教アニメっぽさがある。正しいものがある確信が描かれている。システムを皆が知った上でどうするか描けば面白いのにと思う。プペルで面白いのは、えんとつ町は、本来は中央銀行からの解放を目指していた集団なのに、形骸化したシステムだけがのこっていること。で、主人公がしている、えんとつ掃除はシステムに依存した存在であること。多重的な構造。それだけにあの展開はもったいない。構造に対する葛藤がないのは残念である。また世界の謎は親父の紙芝居にあった。そこは仕掛けとしては、それを主人公が信じ貫くことに重点が置かれている。ここでは信じ貫くことの大切さが描かれていて、そこが宗教っぽさを醸し出しているのである。

ただ映像は非常に安定。さすが。映像としての出来映えは非常に高いのである。例えば主人公がプペルと出会うまでの描写は非常にコミカルでありドキドキするもの。トロッコのシーンなどはアニメならではの映像。完成度が高い。非常に楽しめた。プペル、良い刺股アニメ。また、良いドリルアニメ。アニメ映像としては非常に安定している。これは制作者の健闘を称えたい。いろいろ興味深いアニメだった。