漫画家アシスタントと、うつ病

「あしめし」(葛西りいち)という漫画単行本はブログをまとめたものだそうですが、漫画家アシスタント経験をエッセイ漫画化してます。大変なアシスタント業ですが、この作家さんに掛かると愉快なエピソードに思えてきて読んでいて楽しいわけです(でも大変な事には変わりないです)。

あしめし (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

あしめし (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

この「あしめし」の作者は、不規則なアシスタント業により睡眠障害になってしまうんです。そこは、アシスタント業の悲惨さを感じて、ちょっと笑いようがない。

それで、睡眠障害とは違うんですけど、そういえば、漫画家アシスタント経験を経て、うつ病を患った作家が描いたコミックスがあったなあ、と思い出したのが、次の単行本です。

まんが うつと向き合う―ユング心理学を用いたカウンセリング

まんが うつと向き合う―ユング心理学を用いたカウンセリング

正直笑いどころは殆どありませんけど、
題名の通り作者のユング心理学によるカウンセリング体験を漫画化した作品なのです。ユングだけに夢の内容を元に漫画が描かれているんですよ、つまり、他人の夢を一定の画力で読まされるんです。この夢の内容が、非常に取りとめもなく整合性もない。だいたい、ウロボロスの蛇が渦巻いている洞窟で空を飛ぶイメージだとか、草原行くと四隅を水で満たされた水路で囲まれた一角がありそれを超えると実家に繋がっているイメージだとか、不思議なものを読むことが出来て面白いんです。

で、この本で紹介される作者さんのアシスタント経験が酷いです。アシスタント先では、ゴミとしか思えない漫画のストックを押し付けられたり、不条理な理由で給与支払いを拒まれたり、何故か漫画家先生の家族旅行の雑用を命じられたり(結局コレは断ったそうだが)、思い込みか事実なのか判然としないのですが作風を漫画家の先生に先輩アシスタントに真似られたりしたそうで、(真実は分かりませんけど、本の描写を信じるなら)これらがうつ病の原因の一つとして描かれていて、こっちもアシスタント業は大変だなあと思わされるわけです。


さらにアシスタント漫画。

イカサマアシスタントへの道 (UNPOCO COMIX)

イカサマアシスタントへの道 (UNPOCO COMIX)

この漫画に登場するプロアシスタントのクールさが、嫌な奴オーラを感じつつも、ちょっと印象的。

自分は単なる読者ですけど、自分の読んでいる漫画の背後には、こうした人たちの苦労があるんだなと、思うわけです。漫画業界の構造について深い話が出来るわけではないのですが、こうした作り手にお金がもっと還流される仕組みがないもんかと、思えてきます。
と思いつきの結論で、終わり。