□今日みた夢

「私はその日、憧れの陽子さんと会話をしていた。憧れといっても恋愛感情ではなく彼女の知性や教養に対する敬意と言った方がいいだろう。話をするたびに新しく世界が開けていく、彼女はそんな人だった。その日も何か理由をつけて彼女を訪ね話し込んでいたのだが、突然、彼女は私に問いかけた。ところであなたは、ダメなアニメが好きなの?どうしてそんなことを聞くのだろう。彼女は続けた。だって、あなた宇宙空母ブルーノアが好きだとおっしゃっていたじゃない、と。私は、え!、と驚きの声を上げた。彼女にとっては宇宙空母ブルーノアはダメアニメなのだろうか。彼女は言う、だってあの作品は機動戦士ガンダムと同じ年に作られたアニメ作品なんですよ、比べてみれば両作品の違いがわかります。何故ガンダムは受け入れられて、ブルーノアはダメだったのか。展開が明らかにだるくないかしら、SF考証はされていますけどそれが作品のリアルさに結びついていませんね。と彼女は作品のダメなところを一つ一つ指摘していくのだった。しかも指摘はどれも正しく自分には反論の余地はなかった。私が好きなエピソードであるコアラを助ける話や食中毒になる話は、考えてみれば間抜けなシチュエーションである。それをまじめに作ってあるところが素晴らしいと自分は思っているのだが、あえて言及しなかった。自分の好きな作品の批判を聞いているのは嫌だったので、話題を別なものに変えてみた。そういえば、新世紀エヴァンゲリオンⅡはごらんになりましたか?作品としては一作目のリメイクですね。10年たって作る作品でもないような気がしますけど、キャラが少し今風になっているのには驚きました。アスカがシンジに対してどんどんデレデレしていく様子は、10年前では考えられないですね。あとエヴァ初号機東京湾使徒と戦う場面は格好良くて見所がありました、戦いの後にヘリコプターで駆けつける碇ゲンドウとシンジの会話がいいですね。それとネルフの主要メンバーが超能力者だという設定はどうなんでしょう?3人組みの予知能力とか何ですかね、ミサトが発光してパワーが炸裂しスパイを撲殺するのはやりすぎだと思いました。・・・・。私は話を続けたが陽子さんは話に飽いているようだった。何だか気まずくなったので私は席を立つことにした。さようなら。彼女は玄関まで送ってくれたとき、そういうと戸を閉めた。最後まで見送ってくれなかった彼女になんだか言いようのない気持を感じたが、私は帰り道を急ぐことにした。帰り道はいつものように玉川上水沿いだった、暗くなると蛍が舞い踊る季節まで、あと少しかかりそうだ。この玉川上水はかつて某作家が心中に使えるほど水量が多かったそうだが、今では底の方をちょろちょろ流れているだけだった。(目が覚める)」